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#NEXT ON AIR #下関 #北九州 #歴史

【日本遺産】若松編オープニングトーク

Kanmon ON AIR Commemorative recording.

DATE7/6 WED
TIME08:00 ~ 08:30

#のっぽさんへのリクエスト
#壇ノ浦のこともっとおしえて
#聞いて欲しいこと

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今年6月にリニューアルオープンした【壇之浦パーキングエリア】は、本州最後のパーキングエリアです。そして我が《関門ONAIR》の本拠地でもあります!

関門橋のたもとにある壇之浦PA

 

そんな壇之浦PA、以前voicyでも海饗市場の副店長・坂本さんにお話を伺っておすすめのお土産やフードについてご紹介したので、「行ったみたい」と思った方も多いはず。関門オンエアナビでは、さらに写真付きでくわしくご案内します!

voicyを聴いて、さらにこの記事を読めば、壇之浦PAが100倍楽しくなるはず◎

壇之浦PAを知るには、壇之浦PAを知り尽くした人に聞くべし!

今回はみなさまに壇之浦PAを100倍楽しんでいただくため、壇之浦PAの店長・安井さん直々におすすめをおしえていただきました。安井店長はなんと高校生のバイトからここ壇之浦PAで働いていたということで、これ以上ない壇之浦PAの達人!様々な角度から、壇之浦PAの楽しみ方をお聞きしました。

どこよりも近くから関門橋を眺められる!絶景の展望デッキ

やはり壇之浦PAの一押しポイントは、関門橋と関門海峡が間近に眺められること!展望デッキもオープンし、海を眺めながら旅の疲れを癒したり、写真を撮るお客さまでにぎわっています。

青い海と青い空がとても美しい

安井店長のおすすめは夜。

ロマンチックな雰囲気

対岸の門司は明かりも多く美しい夜景を楽しむことができます。何といっても壇之浦PAは24時間営業。時間を気にせず夜の風景を楽しむことができます。

パーキングエリアと言えば!ご当地のお土産がずらり

本州最後のパーキングエリアということで、観光などで本州に来て九州に帰る前にお土産を買いに立ち寄る、という方も多いと思います。

一番人気はやはり練り物。魚介が豊富な下関ならではの、かなり充実したラインナップです。その中でも一押しは『義経八艘竹輪』。パッケージから新しくデザインされた壇之浦PAのオリジナル商品です。

練り物は特に人気のお土産

ただ、今のご時世なので遠出よりも近場で、というお客さまが多いということで、お土産売り場にも変化が。ドレッシングやスープなど、お土産というよりは自分の家で楽しむ、自家用に買って帰ってすぐに食べられるような商品が最近は売れているということです。

干物やフライは家に帰って焼くだけ、揚げるだけのため自家用に人気

そしてもう一つ、安井店長のおすすめはアンシャーリーのドーナツ。

下関で人気のケーキ屋さんがつくるドーナツ

下関のお店をよく利用しており、お願いして置いてもらったそうです。パッケージもとってもかわいくて、お土産にも自分用にも買いたくなりますね^ ^

下関の美味しいものが食べられるフードコーナー

お土産とともに、パーキングエリアで食べられるその土地ならではのお食事も欠かせませんよね。ここ壇之浦PAのお食事メニューはとにかく迷いそうな魅力的なものばかり。一番人気はやはり海鮮丼。

くじらも食べられるのが下関らしい海鮮丼

そして次に人気なのが瓦そば。

今や全国的に有名になった下関のソウルフード

壇之浦PAに行けば瓦そばが食べられる!ということで、瓦そば目当てに来る方もいらっしゃるそうです。

ちなみに安井店長のお気に入りはうどんににぎり寿司3貫が付いたセットとのこと。海鮮も麺類もカレーもあり、何度来ても楽しめるメニューの豊富さが魅力となっています。

ちょっと立ち寄るだけでも!テイクアウトも充実

ご飯は食べなくても、ちょっと小腹が空いたときなどに便利な建物の表に並ぶテイクアウトコーナー。

コーヒー、揚げ物、甘味が楽しめる

もちろん買って車で食べながら、もいいのですが、安井店長のおすすめは、テイクアウトして展望デッキで海を眺めながら食べること!なんて贅沢。コーヒーとお菓子のお得なセットや、ソフトクリーム、揚げ物まで。テイクアウトして敢えて展望デッキで食べる、というのは壇之浦PAならではの楽しみ方ではないでしょうか。

さいごにとっておきを教えます

ここまで読んでくださったみなさまのために、安井店長に壇之浦PAで過ごす上でのとっておきの楽しみ方をお聞きしました!安井店長が一番おすすめする時間帯は、日の出。山の上から太陽が昇ってくる様子はここでしか見られない、最高の眺めだそうです。

そしてもう一つ、関門橋に当たるんじゃないか、というくらい大きな船も通るそうで、それをハラハラしながら見るのも壇之浦PAの楽しみ方の一つなんだとか。確かにこの距離、この眺望だからこそ体感できる、ここでしか味わえない景色ですよね。

以上、最も壇之浦PAを知っていると言っても過言ではない店長さんにお話を伺い、壇之浦PAを最大限に楽しむ方法をお届けしました!一般道からも行ける壇之浦PA、ぜひ気軽に立ち寄って、100%全力で楽しんでくださいね。

「関門ON AIRナビ」は、放送で取り上げた地域の旬なものや地元の人だけが知っているようなことを紹介するウェブマガジンです。さあ、新しい体験の旅に出かけましょう!

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リニューアルした【壇之浦パーキングエリア】を100倍楽しむ方法

今年6月にリニューアルオープンした【壇之浦パーキングエリア】は、本州最後のパーキングエリアです。そして我が《関門ONAIR》の本拠地でもあります!

関門橋のたもとにある壇之浦PA

 

そんな壇之浦PA、以前voicyでも海饗市場の副店長・坂本さんにお話を伺っておすすめのお土産やフードについてご紹介したので、「行ったみたい」と思った方も多いはず。関門オンエアナビでは、さらに写真付きでくわしくご案内します!

voicyを聴いて、さらにこの記事を読めば、壇之浦PAが100倍楽しくなるはず◎

壇之浦PAを知るには、壇之浦PAを知り尽くした人に聞くべし!

今回はみなさまに壇之浦PAを100倍楽しんでいただくため、壇之浦PAの店長・安井さん直々におすすめをおしえていただきました。安井店長はなんと高校生のバイトからここ壇之浦PAで働いていたということで、これ以上ない壇之浦PAの達人!様々な角度から、壇之浦PAの楽しみ方をお聞きしました。

どこよりも近くから関門橋を眺められる!絶景の展望デッキ

やはり壇之浦PAの一押しポイントは、関門橋と関門海峡が間近に眺められること!展望デッキもオープンし、海を眺めながら旅の疲れを癒したり、写真を撮るお客さまでにぎわっています。

青い海と青い空がとても美しい

安井店長のおすすめは夜。

ロマンチックな雰囲気

対岸の門司は明かりも多く美しい夜景を楽しむことができます。何といっても壇之浦PAは24時間営業。時間を気にせず夜の風景を楽しむことができます。

パーキングエリアと言えば!ご当地のお土産がずらり

本州最後のパーキングエリアということで、観光などで本州に来て九州に帰る前にお土産を買いに立ち寄る、という方も多いと思います。

一番人気はやはり練り物。魚介が豊富な下関ならではの、かなり充実したラインナップです。その中でも一押しは『義経八艘竹輪』。パッケージから新しくデザインされた壇之浦PAのオリジナル商品です。

練り物は特に人気のお土産

ただ、今のご時世なので遠出よりも近場で、というお客さまが多いということで、お土産売り場にも変化が。ドレッシングやスープなど、お土産というよりは自分の家で楽しむ、自家用に買って帰ってすぐに食べられるような商品が最近は売れているということです。

干物やフライは家に帰って焼くだけ、揚げるだけのため自家用に人気

そしてもう一つ、安井店長のおすすめはアンシャーリーのドーナツ。

下関で人気のケーキ屋さんがつくるドーナツ

下関のお店をよく利用しており、お願いして置いてもらったそうです。パッケージもとってもかわいくて、お土産にも自分用にも買いたくなりますね^ ^

下関の美味しいものが食べられるフードコーナー

お土産とともに、パーキングエリアで食べられるその土地ならではのお食事も欠かせませんよね。ここ壇之浦PAのお食事メニューはとにかく迷いそうな魅力的なものばかり。一番人気はやはり海鮮丼。

くじらも食べられるのが下関らしい海鮮丼

そして次に人気なのが瓦そば。

今や全国的に有名になった下関のソウルフード

壇之浦PAに行けば瓦そばが食べられる!ということで、瓦そば目当てに来る方もいらっしゃるそうです。

ちなみに安井店長のお気に入りはうどんににぎり寿司3貫が付いたセットとのこと。海鮮も麺類もカレーもあり、何度来ても楽しめるメニューの豊富さが魅力となっています。

ちょっと立ち寄るだけでも!テイクアウトも充実

ご飯は食べなくても、ちょっと小腹が空いたときなどに便利な建物の表に並ぶテイクアウトコーナー。

コーヒー、揚げ物、甘味が楽しめる

もちろん買って車で食べながら、もいいのですが、安井店長のおすすめは、テイクアウトして展望デッキで海を眺めながら食べること!なんて贅沢。コーヒーとお菓子のお得なセットや、ソフトクリーム、揚げ物まで。テイクアウトして敢えて展望デッキで食べる、というのは壇之浦PAならではの楽しみ方ではないでしょうか。

さいごにとっておきを教えます

ここまで読んでくださったみなさまのために、安井店長に壇之浦PAで過ごす上でのとっておきの楽しみ方をお聞きしました!安井店長が一番おすすめする時間帯は、日の出。山の上から太陽が昇ってくる様子はここでしか見られない、最高の眺めだそうです。

そしてもう一つ、関門橋に当たるんじゃないか、というくらい大きな船も通るそうで、それをハラハラしながら見るのも壇之浦PAの楽しみ方の一つなんだとか。確かにこの距離、この眺望だからこそ体感できる、ここでしか味わえない景色ですよね。

以上、最も壇之浦PAを知っていると言っても過言ではない店長さんにお話を伺い、壇之浦PAを最大限に楽しむ方法をお届けしました!一般道からも行ける壇之浦PA、ぜひ気軽に立ち寄って、100%全力で楽しんでくださいね。

花と癒しの島、六連島

下関駅からもほど近い渡船乗り場から、ほんの20分ほどで行ける小さな島がある。

響灘の海にぽっかりと浮かぶ六連島

 

『花の島』とも呼ばれる【六連島】。

島といえば海で泳いだり美味しい地元飯を堪能したり、バカンスを楽しむイメージがあるかもしれない。しかし、六連島は決して観光の島ではない。

今は、まだ。

そう感じさせてくれる、ポテンシャルを秘めた島であることは間違いない。まだまだこれから魅力が増しそうな六連島の、今だからこそ味わえる、素朴で穏やかで自分だけの特別な場所にしておきたい、そんな愛しい六連島をこっそりとご紹介したい。

 

六連島自治会長の武島さん

 

まず島について詳しくおしえてくださったのが、六連島の自治会長さんである武島さんだ。見るからにやさしいおじいちゃんだが、お話ししていても島の空気を感じるような、あたたかさと凪のようなゆったりとした雰囲気を纏っている。

 

島の郵便屋さんでもある武島さんは、島の住民に郵便物を運んでいる

 

武島さんは島の出身で、勤め先の街の郵便局まで長年通っていたこともあり、今でも島の郵便物を委託され配達している。小さな島の郵便屋さん。なんてかわいらしい。

そんな武島さんの話によると、六連島はかつて山口県の春キャベツの生産地としてかなり栄えていたそうだ。40年位前までは、島のほとんどの土地がキャベツ畑だったという。

羽振りもよかったため豪快な男性陣が自分の船で夜な夜な街に繰り出す、なんていう夢物語のような話も現実にあったそうだが、それも今は昔。キャベツに病気が発生して痛みが出だしたことで、うまく育たなくなってしまったのだ。さらに、島の高齢化も重なり、キャベツ農業は次第に衰退していってしまう。

そこで始まったのが、菊の栽培だった。だんだん需要があるということがわかり、菊の季節以外に他の品種も植えるように。島の気候が花の栽培に適していたのか、今ではトルコキキョウ、ガーベラ、ひまわり、カーネーションなどが年中咲き誇る、一大生産地となった。

 

美しく咲くトルコキキョウ

 

せっかくなのでその花の栽培地も見せていただいた。案内してくださったのは生産者である植村さん。この広大なハウスの花たちを奥様と二人で育てているという。

 

島で花を育てている植村さん

 

少し強面ではあるが、忙しい中お話を聞かせてくださり、こちらもとてもあたたかい方だった。やはり島で生活すると、せかせかしたりイライラしたりすることがなくてやさしい人間になれるのだろうか。自分のことは棚に上げて、あの人もこの人も六連島に住めばいいのに、なんて思ってしまう。

植村さんのやさしさが垣間見えた瞬間がもう一つ、それは飼っている山羊を見せてくれたとき。雑草を食べてもらうために飼っているそうだが、「グルメなんだよ」と少し困った顔をしながら山羊のところに連れて行ってくれた。山羊さんは、植村さんが手にした出荷できないガーベラをむしゃむしゃ。とてもおいしそうに食べている・・・

なんて贅沢な!

 

草よりガーベラがお気に入りの山羊は、植村さんから奪い取るようにガーベラをほおばっていた

 

グルメで草よりガーベラを好む山羊たちを愚痴りながらも、やさしい顔でガーベラを食べさせている植村さんの横顔が印象的だった。

高齢化や、山の上にあるため水が少ないなど様々な問題を抱えつつも、大切に大切に花を育てている植村さん。美しい色彩の花を見ただけで、どれだけ大切に育てられているかわかる。

 

出荷前に冷蔵庫で保管される色とりどりの花たち

 

「3月4月の春がやっぱり一番盛況やけね。その頃にまた来たらいいよ」忙しいから、とインタビューを切り上げた植村さんだったが、結局最後までやさしかった。

 

六連島に住む男性陣のやさしさに触れ「島に住む人、いいかも」なんてすっかりほだされた私だが、六連島の魅力は住む人だけにおさまらない。例えば六連島のシンボルである、『六連島灯台』。

 

150周年を迎える、白く美しい六連島灯台

 

なんと今年150周年を迎え、重要文化財にも指定されている由緒ある灯台だ。10月には式典も予定され、島全体で地域おこしのようなことができたら、と武島さんは考えている。150年前と変わらない造形を今も変わらず見られるというのは、なんてロマンがあるんだろう。六連島灯台が見つめてきた150年に思いを馳せていたら、平気で一日過ぎていそうだ。

そう、そうなのだ。

 

高台にある神社から島を見守るようにたたずむ狛犬

 

そんな風に六連島では、花を見てはうっとりして時間を忘れ、高台に神社を見つけてはその景色に見とれて時間を忘れ、島の至ることろで心地よい風が吹いているので数分おきに立ち止まってしばらく身を任せていたくなる。

 

島のあちこちから海が見渡せ、行き交う船を眺めることができる

 

とにかくゆっくりとそこに留まっていたくなるのだが、いかんせん、宿がないのだ。いや、宿どころか、実は島にお店はなく、自動販売機が一台あるくらい。昔は売店もあり、民宿も2軒あったそうだが、高齢化もあり今は閉じてしまった。

昔は人口も200人くらいおり、30年位前までは分校もあったそうだが今はそれすらない。現在の人口は75人くらいだそう。世帯でいうと30ちょっと。

とはいえ、さみしいことばかりではない。今、六連島は島を盛り上げるために動き出している。8月からは、地域おこし協力隊を迎え、島で生活するそうだ。島民も協力体制が整っているということで、活性化が期待される。

 

船から見た、少しずつ小さくなっていく六連島

 

今はまだ、観光の島ではないけれど。私は六連島にポテンシャルしか感じない。売れる前からずっと好きだったのに、メジャーになってみんなが「いいよね」って言って少しさみしい気持ちになる、そんな予感がするのだ。

そう、今回の記事は、「だから言ったでしょ!」と言いたいがための自己満足でもある。島にみんなが押し寄せる前に、今だからこその“特別感”を、この記事を読んでくれたあなたにはどうか味わってほしい。

 

TEXT
忽那恵
関門オンエアでライティングを担当。

“くじら”という名のロマン

夢中になれるもの、憧れるものがあるって素晴らしい。そんな人を見ているだけでも「あぁ、いいなぁ」と微笑ましくなる。

 

ここに、【くじら】に情熱を捧げる男たちがいる。写真を見てほしい。

 

下関くじら文化振興室長 岸本博士

 

この笑顔。

 

下関市 水産振興課 捕鯨推進室 手塚さん

 

この真剣なまなざし。

 

下関市 水産振興課 捕鯨推進室 亀井さん

 

この楽しそうな笑顔。

 

これらはすべて、【くじら】について語ってもらった時の写真だ。この顔を見るだけで、彼らがどれだけくじらに愛情を持っているのかがわかるし、さらには「え、くじらってそんなに素敵な生き物なの??」と俄然、興味がわいてくる。ここまで三人を虜にするなんて、ちょっとくじらが羨ましくなってくるほどだ。

盗めるところがあるかもしれない、というちょっとした下心もありつつ、その魅力を探るべく三人に思う存分くじらについて語ってもらった。

 

今回お話を伺ったのは、下関市農林水産振興部水産振興課 捕鯨推進室の手塚さんと亀井さん、そして下関市観光スポーツ文化部 文化振興課 下関くじら文化振興室長の岸本さんの三人。

 

くじら愛について熱く語る三人

 

下関市の中でも屈指のくじらエキスパート、くじら界の精鋭と言っていいほどの情報量で、どんな質問にも答えてくれた。

“近代捕鯨発祥の地”と言われる下関市。

 

関見台公園にある世界最大のシロナガスクジラを模したモニュメント

 

南氷洋捕鯨の基地として捕鯨船の建造や鯨肉の陸揚げ、加工などが盛んに行われて一大産業となり、【くじら】が下関市の発展を支えてきたといっても過言ではない。そうして“くじらの街”と呼ばれるようになった下関市。街の至るところにくじらのオブジェやイラストがあったりするが、最近リニューアルした壇之浦PAもその一つ。

 

壇之浦PAを入るとすぐに天井から顔を出した巨大なくじらがお出迎えしてくれる

 

壇之浦PAには缶詰、カレー、大和煮など、豊富な加工品が並ぶ

 

さらには加工品を中心としたくじらコーナーもあり、くじらは観光資源としてもしっかりと認識されている印象だ。

しかし、1982年に商業捕鯨が停止。31年間もの間停止されていたが、日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退したことにより、1992年よりついに商業捕鯨が再開された。そこで“くじらの街下関”を盛り上げるため令和2年に誕生したのが『捕鯨推進室』だ。商業として確立するために消費拡大を目指し、“産業としてのくじら”を推進していくために日々奮闘している。

その活動の一つが、『下関市鯨肉消費拡大推進協議会』を発足し、くじら料理を提供する飲食店を増やす、という取り組み。鯨肉は解凍するのにコツがいるそうで、鯨肉の取り扱いの専門家を講師に招き、講習会を開くなどしている。そうやって少しでもくじら料理を提供するハードルを下げ、今年度は“加盟する飲食店100店舗”を目指している。

そんな鯨肉、そしてくじらの食文化について、もう少し掘り下げて聞いてみた。

昔はくじらを加工する拠点が下関にあったので、ハムやソーセージ、缶詰などの加工品が家に当たり前にあったという。加工品以外にも、家庭料理として醤油や野菜と合わせて南蛮煮にするなど、鯨肉は身近な食だった。お正月や節分にくじらを食べる風習は一部地域で今でも残っているそうで、「大きなものを食べて邪気を払う」という意味が込められているなど、くじらは縁起のいい食べ物でもある。

さて、せっかくなのでくじらのスペシャリストである三人におすすめの食べ方を聞いてみた。
まずは岸本さん。岸本さんはノルウェーで、日本では食べられないという“生肉”を食べたそうだ。いわゆる刺身だが、日本では完全冷凍して解凍したものしか食べられないが、ノルウェーでは気候などの関係で氷の中に埋めたまま運ぶことができる。そうすることで熟成され、「これがとんでもなくおいしかった」、とのこと。
次に手塚さん。手塚さんはバターをきかせたレアステーキがお気に入りとのこと。ごはんのおかずにもなるしビールも進む!と力説してくれた。
さいごに亀井さん。亀井さんは内臓系、特にハツをごま油でいただくのがたまらない、とのこと。流通量は少ないそうだが、新たな価値観が生まれる味だそうだ。

さすが、くじら通の三人はおすすめしてくれるくじら料理もなかなかツウ好みだが、話だけ聞いて「おいしそう」、で済ませるわけにはいかない。実際に味わってみなければ!と、下関にある唯一のくじら料理専門店【下関くじら館】さんにおじゃました。

 

1977年にオープンした老舗くじら料理専門店『下関くじら館』

 

まずいただいたのは『刺身・珍味盛り合わせ』。

 

新鮮なくじらは色も鮮やかで美しく、一目で最上のものとわかる

 

くじらのほほ肉や尾びれ部分のオバイケ、舌部分のさえずりなど。味も食感も異なる鯨の様々な部位を、余すことなく堪能できる。くじら館では、刺身醤油もポン酢もお店でブレンドしたオリジナル。くじらを最も美味しく食べられるようにすべてが考えつくされている。

そして『竜田揚げ』。

 

人気メニューの“くじらの竜田揚げ”は概念が変わる美味しさ

 

これがくじら!?とびっくりするほどの柔らかさ。衣のサクサク感と相まって箸が止まらない。岩塩でいただいたので、鯨肉の味をしっかりと噛みしめることができた。捕鯨推進室の三人もおっしゃっていたが、鯨肉は魚でもなく肉でもなく、“くじらの肉”としか言いようがない。くじらの美味しさは例えようがなく、一度食べてみるまで決して知ることはできないのだ。

 

くじらのローストはまるで牛肉のように美しい赤身

 

他にもローストホイールや塩くじらなど、貴重なくじらをリーズナブルにいただくことができる。

そんな【下関くじら館】の店長・小島純子さんはくじら文化を守るために尽力している方。

 

とってもチャーミングな小島さん

 

そのために、時間もお金も手間もかかるけれど、すべて“自家処理”にこだわっている。「絶対健康にいいことはわかっているから、子供や家族に食べさせるつもりでつくっている」と語ってくれた小島さんに、胸が熱くなる。その思いと、美味しくて食べ終わりたくない気持ちもあり、ひと口ひと口大切に味わった。

 

確かに、くじら料理はおいしい!この舌で実際に味わい、くじらの魅力を体感することができた。

しかしくじらの魅力はそれだけじゃない!とまだまだ語り足りない様子の三人…。三人の紹介を兼ね、ここは気の済むまでくじら愛を語ってもらおうと腹を据えた。

 

くじらについて熱く語っている岸本さん

 

岸本博士はもともとくじらの研究をして学位も取っている方で、まさにくじらの専門家。くじら文化振興室長である岸本さんが主に行っているのは、情報発信だ。出前講座やラジオ・テレビ・新聞の連載など、去年は一年間で106回もの情報を発信した。講座の内容は、クジラの生態から“下関はなぜ近代捕鯨の発祥の地になったのか”、はたまた世界と日本の捕鯨の歴史、くじらの利用、食文化、捕鯨の現状などなど多岐にわたる。幅広い人に理解してもらう講座を心掛けているため対象者によって内容を変えており、小学生であれば30分から、大人向けは長ければ1時間半にもおよぶ充実した講座となっている。

岸本さんにとっては研究の対象であるくじら。岸本さんに言わせると、くじらはそのすべてが“特殊”なのだそう。産業の成り立ちもとても特殊で、組織、捕り方、鯨組の立ち上げ・運用、会社の立ち上げなどすべてがほかの産業と一線を画しているという。産業に限ってのことではなく、それぞれの市町ごとに食べ方に違いがあるなど、独特の食文化があるのも面白い。そして食べるだけではなく田んぼに撒いてウンカの駆除に使ったり、油もマーガリンの原料である一方で機械油やニトログリセリンの原料にも使ったりと用途が多い。
研究すればするほどいろんな側面が出てきて、歴史・文化・経済・国際情勢・法律など、対象としてみたときにとても面白く、いろいろ調べるうちにだんだんくじらにのめり込んでいったそうだ。
それでも、「まだまだ知らないことばかり」とおっしゃる岸本さん。やればやるほどわからない、まだくじらの0.01%も知らない、というから驚きだ。しかし、「それを知っていくことが面白い」と語る岸本さんの表情は生き生きとしている。なるほど、ミステリアスなところがくじらの魅力のひとつであるようだ。

 

くじらの話をするときは本当に楽しそうな様子の亀井さん

 

捕鯨推進室の亀井さんは仕事でくじらに関わるようになって4年だそうだが、くじらへのファーストインパクトは幼少期まで遡る。
図鑑でくじらを見て、“世界で一番大きい”シロナガスクジラに心を奪われた。こんなに大きなものが海に浮かんでいるなんて、と幼心にロマンを感じたそうだ。それからはくじらのみならず魚全般に興味を持ち、それが現在につながっているため、「くじらはいいきっかけをくれた存在」と話す。亀井さんにとって、きっとくじらとの出会いは初恋のようなものなのだろう。

 

水族館で実際に触れ合ったこともある手塚さんは、くじらを語る表情もどこかやさしい

 

関門オンエアのラジオにも出演してくださった、捕鯨推進室の手塚さん。魚好きが高じて水産大学校に入り、水族館で働くという夢も叶えた。

その水族館で、ゴンドウクジラに遊んでもらっていたという手塚さん。「くじらはおかしくてかわいい生き物」と顔をほころばせつつも、「くじらは食べ物なんだという認識もある」と語る。水族館で触れ合うことでより身近になり愛着が増した半面、せっかく大事に残っている食習慣なので脈々と続いていくように、と願う気持ちもある。

「両方の気持ちがあってもいいんだと思います」と手塚さん。これこそ、究極の愛なのではないだろうか。

 

くじらの魅力について探ってきたが、三人とも口をそろえて言っていたのは、「くじらは、ロマン」という言葉。

 

くじらのポスターの前で、みなさんいい笑顔!

 

大きい存在への憧れと、未知でミステリアスな部分への好奇心。さらに、かわいくもあり愛情もあるけれど、食べるとやっぱり美味しくてその食文化をしっかり継承していきたいという気持ちもある、というその葛藤が、くじらへの愛が増す要素の一つになっているようである。

一度ハマったら抜け出せない。くじらは世界最大級の“魔性の”生き物なのかもしれない。

 

TEXT
忽那恵
関門オンエアでライティングを担当。

“くじら”という名のロマン

DATE0/0 THU
TIME ~

夢中になれるもの、憧れるものがあるって素晴らしい。そんな人を見ているだけでも「あぁ、いいなぁ」と微笑ましくなる。   ここに、【くじら】に情熱を捧げる男たちがいる。写真を見てほしい。   [caption id="attachment_206" align="aligncenter" width="300"] 下関くじら文化振興室長 岸本博士[/caption]   この笑顔。   [caption id="attachment_191" align="aligncenter" width="300"] 下関市 水産振興課 捕鯨推進室 手塚さん[/caption]   この真剣なまなざし。   [caption id="attachment_190" align="aligncenter" width="300"] 下関市 水産振興課 捕鯨推進室 亀井さん[/caption]   この楽しそうな笑顔。   これらはすべて、【くじら】について語ってもらった時の写真だ。この顔を見るだけで、彼らがどれだけくじらに愛情を持っているのかがわかるし、さらには「え、くじらってそんなに素敵な生き物なの??」と俄然、興味がわいてくる。ここまで三人を虜にするなんて、ちょっとくじらが羨ましくなってくるほどだ。 盗めるところがあるかもしれない、というちょっとした下心もありつつ、その魅力を探るべく三人に思う存分くじらについて語ってもらった。   今回お話を伺ったのは、下関市農林水産振興部水産振興課 捕鯨推進室の手塚さんと亀井さん、そして下関市観光スポーツ文化部 文化振興課 下関くじら文化振興室長の岸本さんの三人。   [caption id="attachment_207" align="aligncenter" width="300"] くじら愛について熱く語る三人[/caption]   下関市の中でも屈指のくじらエキスパート、くじら界の精鋭と言っていいほどの情報量で、どんな質問にも答えてくれた。 “近代捕鯨発祥の地”と言われる下関市。   [caption id="attachment_187" align="aligncenter" width="300"] 関見台公園にある世界最大のシロナガスクジラを模したモニュメント[/caption]   南氷洋捕鯨の基地として捕鯨船の建造や鯨肉の陸揚げ、加工などが盛んに行われて一大産業となり、【くじら】が下関市の発展を支えてきたといっても過言ではない。そうして“くじらの街”と呼ばれるようになった下関市。街の至るところにくじらのオブジェやイラストがあったりするが、最近リニューアルした壇之浦PAもその一つ。   [caption id="attachment_208" align="aligncenter" width="300"] 壇之浦PAを入るとすぐに天井から顔を出した巨大なくじらがお出迎えしてくれる[/caption]   [caption id="attachment_209" align="aligncenter" width="300"] 壇之浦PAには缶詰、カレー、大和煮など、豊富な加工品が並ぶ[/caption]   さらには加工品を中心としたくじらコーナーもあり、くじらは観光資源としてもしっかりと認識されている印象だ。 しかし、1982年に商業捕鯨が停止。31年間もの間停止されていたが、日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退したことにより、1992年よりついに商業捕鯨が再開された。そこで“くじらの街下関”を盛り上げるため令和2年に誕生したのが『捕鯨推進室』だ。商業として確立するために消費拡大を目指し、“産業としてのくじら”を推進していくために日々奮闘している。 その活動の一つが、『下関市鯨肉消費拡大推進協議会』を発足し、くじら料理を提供する飲食店を増やす、という取り組み。鯨肉は解凍するのにコツがいるそうで、鯨肉の取り扱いの専門家を講師に招き、講習会を開くなどしている。そうやって少しでもくじら料理を提供するハードルを下げ、今年度は“加盟する飲食店100店舗”を目指している。 そんな鯨肉、そしてくじらの食文化について、もう少し掘り下げて聞いてみた。 昔はくじらを加工する拠点が下関にあったので、ハムやソーセージ、缶詰などの加工品が家に当たり前にあったという。加工品以外にも、家庭料理として醤油や野菜と合わせて南蛮煮にするなど、鯨肉は身近な食だった。お正月や節分にくじらを食べる風習は一部地域で今でも残っているそうで、「大きなものを食べて邪気を払う」という意味が込められているなど、くじらは縁起のいい食べ物でもある。 さて、せっかくなのでくじらのスペシャリストである三人におすすめの食べ方を聞いてみた。 まずは岸本さん。岸本さんはノルウェーで、日本では食べられないという“生肉”を食べたそうだ。いわゆる刺身だが、日本では完全冷凍して解凍したものしか食べられないが、ノルウェーでは気候などの関係で氷の中に埋めたまま運ぶことができる。そうすることで熟成され、「これがとんでもなくおいしかった」、とのこと。 次に手塚さん。手塚さんはバターをきかせたレアステーキがお気に入りとのこと。ごはんのおかずにもなるしビールも進む!と力説してくれた。 さいごに亀井さん。亀井さんは内臓系、特にハツをごま油でいただくのがたまらない、とのこと。流通量は少ないそうだが、新たな価値観が生まれる味だそうだ。 さすが、くじら通の三人はおすすめしてくれるくじら料理もなかなかツウ好みだが、話だけ聞いて「おいしそう」、で済ませるわけにはいかない。実際に味わってみなければ!と、下関にある唯一のくじら料理専門店【下関くじら館】さんにおじゃました。   [caption id="attachment_212" align="aligncenter" width="300"] 1977年にオープンした老舗くじら料理専門店『下関くじら館』[/caption]   まずいただいたのは『刺身・珍味盛り合わせ』。   [caption id="attachment_210" align="aligncenter" width="300"] 新鮮なくじらは色も鮮やかで美しく、一目で最上のものとわかる[/caption]   くじらのほほ肉や尾びれ部分のオバイケ、舌部分のさえずりなど。味も食感も異なる鯨の様々な部位を、余すことなく堪能できる。くじら館では、刺身醤油もポン酢もお店でブレンドしたオリジナル。くじらを最も美味しく食べられるようにすべてが考えつくされている。 そして『竜田揚げ』。   [caption id="attachment_213" align="aligncenter" width="300"] 人気メニューの“くじらの竜田揚げ”は概念が変わる美味しさ[/caption]   これがくじら!?とびっくりするほどの柔らかさ。衣のサクサク感と相まって箸が止まらない。岩塩でいただいたので、鯨肉の味をしっかりと噛みしめることができた。捕鯨推進室の三人もおっしゃっていたが、鯨肉は魚でもなく肉でもなく、“くじらの肉”としか言いようがない。くじらの美味しさは例えようがなく、一度食べてみるまで決して知ることはできないのだ。   [caption id="attachment_211" align="aligncenter" width="300"] くじらのローストはまるで牛肉のように美しい赤身[/caption]   他にもローストホイールや塩くじらなど、貴重なくじらをリーズナブルにいただくことができる。 そんな【下関くじら館】の店長・小島純子さんはくじら文化を守るために尽力している方。   [caption id="attachment_189" align="aligncenter" width="300"] とってもチャーミングな小島さん[/caption]   そのために、時間もお金も手間もかかるけれど、すべて“自家処理”にこだわっている。「絶対健康にいいことはわかっているから、子供や家族に食べさせるつもりでつくっている」と語ってくれた小島さんに、胸が熱くなる。その思いと、美味しくて食べ終わりたくない気持ちもあり、ひと口ひと口大切に味わった。   確かに、くじら料理はおいしい!この舌で実際に味わい、くじらの魅力を体感することができた。 しかしくじらの魅力はそれだけじゃない!とまだまだ語り足りない様子の三人…。三人の紹介を兼ね、ここは気の済むまでくじら愛を語ってもらおうと腹を据えた。   [caption id="attachment_193" align="aligncenter" width="300"] くじらについて熱く語っている岸本さん[/caption]   岸本博士はもともとくじらの研究をして学位も取っている方で、まさにくじらの専門家。くじら文化振興室長である岸本さんが主に行っているのは、情報発信だ。出前講座やラジオ・テレビ・新聞の連載など、去年は一年間で106回もの情報を発信した。講座の内容は、クジラの生態から“下関はなぜ近代捕鯨の発祥の地になったのか”、はたまた世界と日本の捕鯨の歴史、くじらの利用、食文化、捕鯨の現状などなど多岐にわたる。幅広い人に理解してもらう講座を心掛けているため対象者によって内容を変えており、小学生であれば30分から、大人向けは長ければ1時間半にもおよぶ充実した講座となっている。 岸本さんにとっては研究の対象であるくじら。岸本さんに言わせると、くじらはそのすべてが“特殊”なのだそう。産業の成り立ちもとても特殊で、組織、捕り方、鯨組の立ち上げ・運用、会社の立ち上げなどすべてがほかの産業と一線を画しているという。産業に限ってのことではなく、それぞれの市町ごとに食べ方に違いがあるなど、独特の食文化があるのも面白い。そして食べるだけではなく田んぼに撒いてウンカの駆除に使ったり、油もマーガリンの原料である一方で機械油やニトログリセリンの原料にも使ったりと用途が多い。 研究すればするほどいろんな側面が出てきて、歴史・文化・経済・国際情勢・法律など、対象としてみたときにとても面白く、いろいろ調べるうちにだんだんくじらにのめり込んでいったそうだ。 それでも、「まだまだ知らないことばかり」とおっしゃる岸本さん。やればやるほどわからない、まだくじらの0.01%も知らない、というから驚きだ。しかし、「それを知っていくことが面白い」と語る岸本さんの表情は生き生きとしている。なるほど、ミステリアスなところがくじらの魅力のひとつであるようだ。   [caption id="attachment_192" align="aligncenter" width="300"] くじらの話をするときは本当に楽しそうな様子の亀井さん[/caption]   捕鯨推進室の亀井さんは仕事でくじらに関わるようになって4年だそうだが、くじらへのファーストインパクトは幼少期まで遡る。 図鑑でくじらを見て、“世界で一番大きい”シロナガスクジラに心を奪われた。こんなに大きなものが海に浮かんでいるなんて、と幼心にロマンを感じたそうだ。それからはくじらのみならず魚全般に興味を持ち、それが現在につながっているため、「くじらはいいきっかけをくれた存在」と話す。亀井さんにとって、きっとくじらとの出会いは初恋のようなものなのだろう。   [caption id="attachment_214" align="aligncenter" width="300"] 水族館で実際に触れ合ったこともある手塚さんは、くじらを語る表情もどこかやさしい[/caption]   関門オンエアのラジオにも出演してくださった、捕鯨推進室の手塚さん。魚好きが高じて水産大学校に入り、水族館で働くという夢も叶えた。 その水族館で、ゴンドウクジラに遊んでもらっていたという手塚さん。「くじらはおかしくてかわいい生き物」と顔をほころばせつつも、「くじらは食べ物なんだという認識もある」と語る。水族館で触れ合うことでより身近になり愛着が増した半面、せっかく大事に残っている食習慣なので脈々と続いていくように、と願う気持ちもある。 「両方の気持ちがあってもいいんだと思います」と手塚さん。これこそ、究極の愛なのではないだろうか。   くじらの魅力について探ってきたが、三人とも口をそろえて言っていたのは、「くじらは、ロマン」という言葉。   [caption id="attachment_215" align="aligncenter" width="300"] くじらのポスターの前で、みなさんいい笑顔![/caption]   大きい存在への憧れと、未知でミステリアスな部分への好奇心。さらに、かわいくもあり愛情もあるけれど、食べるとやっぱり美味しくてその食文化をしっかり継承していきたいという気持ちもある、というその葛藤が、くじらへの愛が増す要素の一つになっているようである。 一度ハマったら抜け出せない。くじらは世界最大級の“魔性の”生き物なのかもしれない。  

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関門ON AIRナビ

“くじら”という名のロマン

2021.08.25

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夢中になれるもの、憧れるものがあるって素晴らしい。そんな人を見ているだけでも「あぁ、いいなぁ」と微笑ましくなる。

 

ここに、【くじら】に情熱を捧げる男たちがいる。写真を見てほしい。

 

下関くじら文化振興室長 岸本博士

 

この笑顔。

 

下関市 水産振興課 捕鯨推進室 手塚さん

 

この真剣なまなざし。

 

下関市 水産振興課 捕鯨推進室 亀井さん

 

この楽しそうな笑顔。

 

これらはすべて、【くじら】について語ってもらった時の写真だ。この顔を見るだけで、彼らがどれだけくじらに愛情を持っているのかがわかるし、さらには「え、くじらってそんなに素敵な生き物なの??」と俄然、興味がわいてくる。ここまで三人を虜にするなんて、ちょっとくじらが羨ましくなってくるほどだ。

盗めるところがあるかもしれない、というちょっとした下心もありつつ、その魅力を探るべく三人に思う存分くじらについて語ってもらった。

 

今回お話を伺ったのは、下関市農林水産振興部水産振興課 捕鯨推進室の手塚さんと亀井さん、そして下関市観光スポーツ文化部 文化振興課 下関くじら文化振興室長の岸本さんの三人。

 

くじら愛について熱く語る三人

 

下関市の中でも屈指のくじらエキスパート、くじら界の精鋭と言っていいほどの情報量で、どんな質問にも答えてくれた。

“近代捕鯨発祥の地”と言われる下関市。

 

関見台公園にある世界最大のシロナガスクジラを模したモニュメント

 

南氷洋捕鯨の基地として捕鯨船の建造や鯨肉の陸揚げ、加工などが盛んに行われて一大産業となり、【くじら】が下関市の発展を支えてきたといっても過言ではない。そうして“くじらの街”と呼ばれるようになった下関市。街の至るところにくじらのオブジェやイラストがあったりするが、最近リニューアルした壇之浦PAもその一つ。

 

壇之浦PAを入るとすぐに天井から顔を出した巨大なくじらがお出迎えしてくれる

 

壇之浦PAには缶詰、カレー、大和煮など、豊富な加工品が並ぶ

 

さらには加工品を中心としたくじらコーナーもあり、くじらは観光資源としてもしっかりと認識されている印象だ。

しかし、1982年に商業捕鯨が停止。31年間もの間停止されていたが、日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退したことにより、1992年よりついに商業捕鯨が再開された。そこで“くじらの街下関”を盛り上げるため令和2年に誕生したのが『捕鯨推進室』だ。商業として確立するために消費拡大を目指し、“産業としてのくじら”を推進していくために日々奮闘している。

その活動の一つが、『下関市鯨肉消費拡大推進協議会』を発足し、くじら料理を提供する飲食店を増やす、という取り組み。鯨肉は解凍するのにコツがいるそうで、鯨肉の取り扱いの専門家を講師に招き、講習会を開くなどしている。そうやって少しでもくじら料理を提供するハードルを下げ、今年度は“加盟する飲食店100店舗”を目指している。

そんな鯨肉、そしてくじらの食文化について、もう少し掘り下げて聞いてみた。

昔はくじらを加工する拠点が下関にあったので、ハムやソーセージ、缶詰などの加工品が家に当たり前にあったという。加工品以外にも、家庭料理として醤油や野菜と合わせて南蛮煮にするなど、鯨肉は身近な食だった。お正月や節分にくじらを食べる風習は一部地域で今でも残っているそうで、「大きなものを食べて邪気を払う」という意味が込められているなど、くじらは縁起のいい食べ物でもある。

さて、せっかくなのでくじらのスペシャリストである三人におすすめの食べ方を聞いてみた。
まずは岸本さん。岸本さんはノルウェーで、日本では食べられないという“生肉”を食べたそうだ。いわゆる刺身だが、日本では完全冷凍して解凍したものしか食べられないが、ノルウェーでは気候などの関係で氷の中に埋めたまま運ぶことができる。そうすることで熟成され、「これがとんでもなくおいしかった」、とのこと。
次に手塚さん。手塚さんはバターをきかせたレアステーキがお気に入りとのこと。ごはんのおかずにもなるしビールも進む!と力説してくれた。
さいごに亀井さん。亀井さんは内臓系、特にハツをごま油でいただくのがたまらない、とのこと。流通量は少ないそうだが、新たな価値観が生まれる味だそうだ。

さすが、くじら通の三人はおすすめしてくれるくじら料理もなかなかツウ好みだが、話だけ聞いて「おいしそう」、で済ませるわけにはいかない。実際に味わってみなければ!と、下関にある唯一のくじら料理専門店【下関くじら館】さんにおじゃました。

 

1977年にオープンした老舗くじら料理専門店『下関くじら館』

 

まずいただいたのは『刺身・珍味盛り合わせ』。

 

新鮮なくじらは色も鮮やかで美しく、一目で最上のものとわかる

 

くじらのほほ肉や尾びれ部分のオバイケ、舌部分のさえずりなど。味も食感も異なる鯨の様々な部位を、余すことなく堪能できる。くじら館では、刺身醤油もポン酢もお店でブレンドしたオリジナル。くじらを最も美味しく食べられるようにすべてが考えつくされている。

そして『竜田揚げ』。

 

人気メニューの“くじらの竜田揚げ”は概念が変わる美味しさ

 

これがくじら!?とびっくりするほどの柔らかさ。衣のサクサク感と相まって箸が止まらない。岩塩でいただいたので、鯨肉の味をしっかりと噛みしめることができた。捕鯨推進室の三人もおっしゃっていたが、鯨肉は魚でもなく肉でもなく、“くじらの肉”としか言いようがない。くじらの美味しさは例えようがなく、一度食べてみるまで決して知ることはできないのだ。

 

くじらのローストはまるで牛肉のように美しい赤身

 

他にもローストホイールや塩くじらなど、貴重なくじらをリーズナブルにいただくことができる。

そんな【下関くじら館】の店長・小島純子さんはくじら文化を守るために尽力している方。

 

とってもチャーミングな小島さん

 

そのために、時間もお金も手間もかかるけれど、すべて“自家処理”にこだわっている。「絶対健康にいいことはわかっているから、子供や家族に食べさせるつもりでつくっている」と語ってくれた小島さんに、胸が熱くなる。その思いと、美味しくて食べ終わりたくない気持ちもあり、ひと口ひと口大切に味わった。

 

確かに、くじら料理はおいしい!この舌で実際に味わい、くじらの魅力を体感することができた。

しかしくじらの魅力はそれだけじゃない!とまだまだ語り足りない様子の三人…。三人の紹介を兼ね、ここは気の済むまでくじら愛を語ってもらおうと腹を据えた。

 

くじらについて熱く語っている岸本さん

 

岸本博士はもともとくじらの研究をして学位も取っている方で、まさにくじらの専門家。くじら文化振興室長である岸本さんが主に行っているのは、情報発信だ。出前講座やラジオ・テレビ・新聞の連載など、去年は一年間で106回もの情報を発信した。講座の内容は、クジラの生態から“下関はなぜ近代捕鯨の発祥の地になったのか”、はたまた世界と日本の捕鯨の歴史、くじらの利用、食文化、捕鯨の現状などなど多岐にわたる。幅広い人に理解してもらう講座を心掛けているため対象者によって内容を変えており、小学生であれば30分から、大人向けは長ければ1時間半にもおよぶ充実した講座となっている。

岸本さんにとっては研究の対象であるくじら。岸本さんに言わせると、くじらはそのすべてが“特殊”なのだそう。産業の成り立ちもとても特殊で、組織、捕り方、鯨組の立ち上げ・運用、会社の立ち上げなどすべてがほかの産業と一線を画しているという。産業に限ってのことではなく、それぞれの市町ごとに食べ方に違いがあるなど、独特の食文化があるのも面白い。そして食べるだけではなく田んぼに撒いてウンカの駆除に使ったり、油もマーガリンの原料である一方で機械油やニトログリセリンの原料にも使ったりと用途が多い。
研究すればするほどいろんな側面が出てきて、歴史・文化・経済・国際情勢・法律など、対象としてみたときにとても面白く、いろいろ調べるうちにだんだんくじらにのめり込んでいったそうだ。
それでも、「まだまだ知らないことばかり」とおっしゃる岸本さん。やればやるほどわからない、まだくじらの0.01%も知らない、というから驚きだ。しかし、「それを知っていくことが面白い」と語る岸本さんの表情は生き生きとしている。なるほど、ミステリアスなところがくじらの魅力のひとつであるようだ。

 

くじらの話をするときは本当に楽しそうな様子の亀井さん

 

捕鯨推進室の亀井さんは仕事でくじらに関わるようになって4年だそうだが、くじらへのファーストインパクトは幼少期まで遡る。
図鑑でくじらを見て、“世界で一番大きい”シロナガスクジラに心を奪われた。こんなに大きなものが海に浮かんでいるなんて、と幼心にロマンを感じたそうだ。それからはくじらのみならず魚全般に興味を持ち、それが現在につながっているため、「くじらはいいきっかけをくれた存在」と話す。亀井さんにとって、きっとくじらとの出会いは初恋のようなものなのだろう。

 

水族館で実際に触れ合ったこともある手塚さんは、くじらを語る表情もどこかやさしい

 

関門オンエアのラジオにも出演してくださった、捕鯨推進室の手塚さん。魚好きが高じて水産大学校に入り、水族館で働くという夢も叶えた。

その水族館で、ゴンドウクジラに遊んでもらっていたという手塚さん。「くじらはおかしくてかわいい生き物」と顔をほころばせつつも、「くじらは食べ物なんだという認識もある」と語る。水族館で触れ合うことでより身近になり愛着が増した半面、せっかく大事に残っている食習慣なので脈々と続いていくように、と願う気持ちもある。

「両方の気持ちがあってもいいんだと思います」と手塚さん。これこそ、究極の愛なのではないだろうか。

 

くじらの魅力について探ってきたが、三人とも口をそろえて言っていたのは、「くじらは、ロマン」という言葉。

 

くじらのポスターの前で、みなさんいい笑顔!

 

大きい存在への憧れと、未知でミステリアスな部分への好奇心。さらに、かわいくもあり愛情もあるけれど、食べるとやっぱり美味しくてその食文化をしっかり継承していきたいという気持ちもある、というその葛藤が、くじらへの愛が増す要素の一つになっているようである。

一度ハマったら抜け出せない。くじらは世界最大級の“魔性の”生き物なのかもしれない。

 

TEXT
忽那恵
関門オンエアでライティングを担当。

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